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「それがどうした」と言える強さ -他人の評価軸から自分軸に戻る-

8月14日
読了時間: 4分

痛みを認め、意味づけを考え、強みと捉えて行動する
痛みを認め、意味づけを考え、強みと捉えて行動する

もう気にしていないと思っていたことを、誰かのふとした一言で刺激され、思いがけず傷つくことがあります。

年齢、出自、家庭環境、経済状況、婚姻歴、学歴、・・・

自分では「もう達観した」「今さら気にしていない」と思っていたのに、何気ない言葉が胸に刺さる。

そんな経験は、決して珍しいことではありません。


傷ついたときに、まず必要なのは「こんなことで動揺するなんて」と自分を責めることではありません。

そこに痛みがあることを認め、「私はこの部分を、誰かに承認してほしかったのかもしれない」と気づくことです。


「上には上がいる」と知った友人

以前、地方都市で一番良い高校に進学し、自分たちはエリートだと思っていた頃の友人と話したことがあります。

その友人は東京の大学へ進み、そこで初めて「上には上がいる」と知ったそうです。

自分は、いわば小さな山のお山の大将だったのだ、と。


私にも似た経験があります。地方の国立大学医学部を卒業し、一般的に見れば十分に恵まれた道を歩んできたつもりでした。ところが、東京で小学校から大学まで一貫教育を受けた私立大学医学部出身の人たちと知り合い、学生時代から築かれた人脈や、早くから海外へ出る機会を得ていた経験の厚みに触れました。

「かなわないなあ」と、一瞬落ち込みました。しかし、すぐに考え直しました。相手が得てきた機会と、私が歩んできた道は違います。違う二つの人生を、一本の物差しで測って落ち込んでも、そこから何かが生まれるわけではありません。


比較には、二つの落とし穴がある

恵まれている人を見て、「自分には足りない」と落ち込む。反対に、相手の欠点や弱点を探し、自分のほうが上だと安心しようとする。方向は逆でも、どちらも自分の価値を他人との比較で測っている点では同じです。

もちろん、家庭環境や経済状況、教育や留学の機会、人脈の差は現実に存在します。

それを「気持ちの持ちよう」だけでなかったことにする必要はありません。

ただし、機会の差を、そのまま人としての価値の差に変換する必要もないのです。


大切な区別 相手が持っているものと、自分の価値は別


「それがどうした」は、自分を投げ出す言葉ではない

年齢も、出身地も、過去の環境も、すでに起きた事実です。

変えられない事実を材料に、何度も自分を裁き続ける必要はありません。

そんなとき、心の中で「それがどうした」と言ってみる。

これは、他人に啖呵を切るための言葉ではありません。

「それも私の一部です。それでも私は、ここから自分の人生をつくっていきます」と、自分に許可を出すための言葉です。

自己卑下が癖になると、周囲はそのたびに励ましたり否定したりする役割を求められます。

それ以上に残念なのは、「私なんか」と言うたびに、自分自身が可能性の扉を閉めてしまうことです。

「私なんか」ではなく、「私はここから何ができるだろう」と問い直してみましょう。


ネガティブな背景を、資源に言い換える

たとえば、次のように見方を変えることができます。

·     地方で育った → 限られた環境の中で工夫する力が育った。

·     留学経験がない → 国内の臨床や患者さんの現実を深く知っている。今から必要な学びを選べる。

·     育児や介護で遠回りした → 人の事情を想像し、優先順位をつける力が培われた。

·     年齢を重ねた → 経験を統合し、若い頃には見えなかった全体像を捉えられる。

無理に何もかもを美談にする必要はありません。つらかったことは、つらかったことでよいのです。

ただ、その経験によって得た視点や力まで見落とすことのないようにしたいです。


他人の評価軸から自分軸に戻る、三つのステップ

1.   痛みを認める:「私は今、何に傷ついたのだろう」と言葉にする。

2.   事実と意味づけを分ける:「相手にはこの経験がある」は事実。「だから私は劣っている」は意味づけ。

3.   強みと行動に戻る:「この経験から得た力は何か」「今日できる一歩は何か」と問い直す。


ありのままの自分を承認することから、前進は始まる

自己肯定感や自己効力感は、誰かに「あなたはすごい」と言ってもらうだけでは安定しません。

自分の背景も、遠回りも、足りなかった機会も含めて、「これが私の出発点だった」と承認する。

そのうえで、自分の強みを生かして実績を一つずつ積み重ねることが、揺らがない自信につながります。

誰かの一言で古い傷がいたんたら、まずは自分は自分自身の一番の味方ということを思い出します。


今週の問い あなたが「一般的にはネガティブ」と思っている自分の背景を、そこから得た力や視点という言葉で言い換えるとしたら、どのように表現できますか。


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