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大きな制度改革から身近な改善まで、気づいた人の主体性が社会を少しずつ変えます
大きな制度改革から身近な改善まで、気づいた人の主体性が社会を少しずつ変えます

― 愚痴を『自分にできること』へ変える主体性


皆さんは、身の回りで『どうして、いつまでもこのやり方なのだろう』『誰かが変えてくれないだろうか』と思っていることはありませんか。

職場の非効率な仕組み、女性医師が働きにくい勤務体制、必要な情報が届かない組織、地域の不便な連絡方法。

気になることがあっても、自分が声を上げるのは出過ぎたことではないかと考え、黙ってしまうことがあります。


日本では、謙虚であることが美徳とされてきました。相手を尊重し、自分の考えだけを押し通さない姿勢は、とても大切です。けれども、謙虚さと、必要な行動まで控えることは違います。


不満は、変えたいものに気づいているサイン

何かに不満を感じるとき、そこには『本当はこうあってほしい』という願いが隠れています。


連絡がもっと簡単になってほしい。

育児をしながらでも能力を発揮できる職場であってほしい。

若手が所属や地域に関係なく学べるようになってほしい。


不満そのものが悪いわけではありません。違和感に気づく感受性があるからこそ、改善すべき点が見えます。

ただし、誰かのせいだと考え続け、愚痴だけを繰り返していると、自分は状況を変えられないという無力感が強くなってしまいます。

そこで役立つのが、『では、自分にできることは何だろう』という問いです。

すべてを一人で解決する必要はありません。最初の小さな働きかけを選ぶことが、主体性の始まりです。


若手を置き去りにしない場をつくった人

先週のブログでは、若手皮膚科医のコミュニティ『平成デルマ会』を立ち上げた須藤上治先生をご紹介しました。

須藤先生は、所属や地域によって学びの機会に差があり、若手同士をつなぐ場が必要だと気づきました。

そして、必要な講師を探し、面識のない相手にも丁寧に依頼し、実際に学びの場をつくりました。

『誰かが若手のために場をつくってくれればよいのに』で終わらせず、自分にできることを始めたのです。


主体性とは、役職を持つことではありません。

必要なものに気づき、自分から最初の一歩を踏み出すことです。

その行動が人をつなぎ、周囲を動かしたとき、リーダーシップになります。


女性医師の困難を、個人の問題で終わらせなかった

2026年8月に私が主催したオンライン勉強会では、札幌医科大学泌尿器科の西田幸代先生から、女性医師のキャリアを支える取り組みについてお話しいただきました。

育児と仕事の両立が難しいとき、『本人の努力が足りない』『夫が協力してくれない』『勤務先に理解がない』と、個人の問題や愚痴として片づけられがちです。

しかし西田先生は、女性医師が働きにくい背景には、社会や組織の構造上の問題があるのではないかと考えました。


そこで調査研究を行い、子どものいる医師の育児負担を調べました。

女性医師では本人が主に育児を担い、男性医師ではパートナーが担う場合が圧倒的に多いことが示されました。

同じ『子どものいる医師』でも、仕事に使える時間やエネルギーの前提が大きく異なっていたのです。


西田先生は、問題を明らかにするだけで終わりませんでした。

多様なロールモデルを示し、学会へ働きかけ、女性が意思決定や学術活動の場に参加しやすくなる具体的な仕組みづくりを進めました。

女性座長の候補者を推薦しやすくするリストの作成など、『座長者候補が分からない』という側の障壁も下げました。

その積み重ねによって、女性医師の中でも『自分もリーダーシップを担ってよい』と考える人が増えていきました。

不都合を個人のせいにせず、調べ、可視化し、仕組みへ働きかける。

これは主体性が社会を変えた例です。


『気づいた人が責任者』と考えてみる

私が主催した上記のオンライン勉強会では、昨年1月には北海道月形町の元町議会議員、宮下裕美子さんから体験談を伺いました。

宮下さんは、町議会の活動を住民へ伝える報告書がないことに気づきました。

誰かが始めてくれるのを待つこともできたでしょう。

しかし宮下さんは、『気づいた人が責任者』という考え方で、自ら議員活動報告書の発行を始めました。


この言葉は、気づいた人がすべてを背負うという意味ではないと思います。

気づいた自分が、まず問題を言葉にし、周囲に相談し、人を巻き込む起点になるということです。


LINEグループも、小さな社会変革

私自身にも、とても身近な例があります。

私の町内会では、行事の打ち合わせや訃報の連絡を、電話やFAXで行うことが慣例になっていました。

一件ずつ連絡するのは手間がかかり、伝達にも時間がかかります。

そこで私は町内の方々へ声をかけ、LINEグループをつくりました。

すると連絡がとてもスムーズになり、必要な情報を皆で共有しやすくなりました。


学会の制度を変えることに比べれば、小さな出来事に見えるかもしれません。

しかし、社会とは遠くにある大きなものだけではありません。

町内会も、職場も、家庭も、私たちが属する小さな社会です。

その中の不便を一つ減らすことも、立派な社会変革です。

このような経験をすると、『自分にも周囲を少しよくすることができる』という感覚が生まれます。

それが自己効力感です。


愚痴が続く人には、まず十分に聴く

では、周囲に不満や愚痴を繰り返している人がいたら、すぐに『あなたも主体的に動きなさい』と言えばよいのでしょうか。私は、そうではないと思います。

主体的に動きなさい、と言われて動いたとしたら、そこですでに、主体性が失われています。

先日YouTubeでインタビューした、糖尿病内科医で長年、医療者向けにコーチングを実施してきた松本一成先生は、まずその人の愚痴を十分に傾聴することが大切だと話してくださいました。


気持ちを受け止めてもらえないまま正論を言われても、人はなかなか前を向けません。

十分に話してもらったあとで、部下の立場、同僚の立場、患者の立場、病院経営者の立場など、複数の他者の視点から同じ状況がどう見えるか考えてもらいます。

すると、『相手にも事情があるかもしれない』『このまま愚痴だけを言っていても変わらない』『自分にできることもあるかもしれない』という気づきが生まれます。


主体性は、外から叱って与えるものではありません。

安心して話せる関係と、視点を広げる問いによって、本人の内側から引き出していくものです。


『やってみよう』が幸福感を高める

幸福学を研究する前野隆司先生は、幸せを支える因子の一つとして『やってみよう因子』を挙げています。

自分なりの目標を持ち、主体的に関わり、実際にやってみることは、自己実現や成長の感覚につながります。

もちろん、行動すれば必ず思いどおりの結果になるわけではありません。

それでも、自分で考えて一歩を選んだ経験は、『自分は状況に働きかけられる』という感覚を育てます。

小さな成功が重なると、次の一歩も踏み出しやすくなります。

主体性を持つことは、責任や仕事を増やすだけではありません。

自分が社会の受け身の一員ではなく、よりよい方向へ働きかけられる一員だと感じることでもあります。

その感覚が、幸福感にもつながるのだと思います。


主体性を引き出す三つの問い

あなたが今、身の回りで『このままでは困る』と感じていることは何ですか。

誰かが変えてくれるのを待たずに、あなたができる最初の小さな一歩は何ですか。

その一歩を踏み出したとき、あなたは周囲でどのような役割を担う人になりますか。


大きな改革を始める必要はありません。

困っている人に話を聞く。

事実を調べる。

仲間を一人見つける。

改善案を一つ伝える。

LINEグループを提案する。


そんな小さな行動から始められます。

社会とは、職場、学会、地域、家庭など、私たちが日々関わっている場所です。

そこで気づいた不都合を、自分にできる行動へ変える。

その瞬間から、私たちは社会をつくる側になります。


今日の問い

あなたは今週、どの不都合を、どんな小さな一歩へ変えますか。


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9月4日
読了時間: 6分

― 一歩踏み出す人のそばにいると、自分も動き出せる


あなたは面識のない、ずっと年上の人に、自分たちのための講演をお願いできますか。

私は最近、皮膚科専攻医4年目の先生から、その問いを突きつけられるような経験をしました。

1人の勇気ある行動が、多くの人に勇気をもたらします
1人の勇気ある行動が、多くの人に勇気をもたらします

といっても、先生から直接そう問われたわけではありません。

その方の行動を見て、私自身が考えさせられたのです。

面識のない若手医師から届いたメール

連絡をくださったのは、東邦大学医療センター大橋病院に勤務する、皮膚科専攻医4年目の須藤上治先生です。

須藤先生は、平成生まれの若手皮膚科医が、所属や地域の垣根を越えてつながる『平成デルマ会』の発起人でもあります。

平成デルマ会 Instagram https://www.instagram.com/heisei.derma/

 

須藤先生は、私とはまったく面識がありませんでした。

それでも私のウェブサイトに掲載していた連絡先を見つけ、若手皮膚科医向けに皮膚病理のセミナーをしてもらえないかと、丁寧なメールを送ってくださいました。

私は、とても嬉しく思いました。自分が長年学び、教えてきた皮膚病理を、これからの皮膚科を担う若い先生方へ届けられる。喜んでお引き受けしました。


先日開催したオンライン勉強会は、多くの先生に参加していただき、充実した時間になりました。

募集段階で参加登録は50名を超えていました。

参加者には、職場に皮膚病理を詳しく教えてくれる人が少ない先生も多かったようで、熱心に学び、喜んでくださいました。

私にとっても、若い先生方へ知識を渡せるありがたい機会になりました。


リーダーシップは、役職より先に始まる

私は須藤先生の行動を見て、『この先生にはリーダーシップがある』と感心しました。

リーダーシップというと、組織の長として皆を率いる姿を思い浮かべるかもしれません。

しかし今回、須藤先生がしたことは、もっと根源的なリーダーシップでした。


  • 仲間に不足している学びの機会に気づく。

  • 適任と思う講師を探す。

  • 面識がなくても丁寧に働きかける。

  • そして、仲間が学べる場を実現する。


肩書が先にあったから動いたのではありません。

必要なことを見つけ、自分から一歩を踏み出したから、人が集まり、学びの場が生まれました。

リーダーシップは、役職を得てから発揮するものではなく、『ここに必要なものをつくろう』と動くところから始まるのだと思います。


同時に私は、自分が須藤先生の立場だったら、まったく面識のない年長者へ同じように依頼できただろうか、と考えました。

おそらく、かなりためらったと思います。

私は、教える側でありながら、須藤先生から勇気ある行動のお手本を見せてもらったのです。

(このエピソードは須藤上治先生のご了解を得てご紹介しています。)


若い人から受け取った勇気で、私も動いてみた

その経験のあと、私は自分のYouTubeチャンネルに登壇してくださる外部の先生を、新たにもう一人お願いしてみようと思いました。

以前、オンラインの会議で数回お会いしただけの先生です。

親しい間柄ではありませんでしたが、須藤先生の行動を思い出し、SNSから思い切って連絡してみました。

すると、その先生はあっさりと快諾してくださいました。


連絡する前には、迷惑に思われるのではないか、断られたら気まずいのではないか、と考えていました。

しかし実際に一歩を踏み出すと、新しい対話の機会が生まれました。


勇気は、人から人へ伝わるのだと思います。

誰かの勇気ある行動を見ると、『自分にもできるかもしれない』という感覚が生まれます。

年齢や経験の長さは関係ありません。

この年齢になっても、若い人から学び、今までできなかったことができるようになる。

そのことを、とても嬉しく感じました。


ゲストの力を借りた動画も、私の仕事なのか

もう一つ、私の背中を押してくれた出来事があります。

私のYouTubeチャンネルでは、私一人で作る最近の動画よりも、著名な大学教授や名誉教授などをゲストに迎えた動画のほうが、視聴回数が高い傾向があります。

それはありがたいことなのに、私は少し後ろめたく感じていました。

外から見れば、他の先生の知名度や力を借りてチャンネルを運営しているように見えるのではないか。自分の実力で得た視聴回数ではないのではないか。

そんな思いがあったのです。


その気持ちを友人に話すと、友人はこう言ってくれました。

ゲストの先生が登壇する動画であっても、あなたが企画し、依頼し、対話を組み立て、収録・編集し、あなたのチャンネルで公開したのであれば、それはあなたの仕事ではないか、と。


その言葉を聞いて、私は視点が変わりました。

自分一人ですべてを行うことだけが、自分の仕事ではありません。

適切な人を見つけ、その人の知識や魅力が伝わる場をつくり、必要な人へ届けることも、立派な仕事です。

人の力を借りることと、自分の価値を失うことは同じではありません。

むしろ、人と人をつなぎ、新しい価値を生み出すことも、リーダーシップの一つだと気付きました。


実際に、私が企画した動画が高い視聴回数をだしたということは、必要としている人にコンテンツを届けることができたという事だと思います。


勇気を育ててくれる人のそばにいる

今回、須藤先生は行動によって勇気を見せてくれました。

友人は、私が見落としていた自分の強みを言葉にして、背中を押してくれました。

二人の関わり方は違いますが、どちらも私が次の一歩を踏み出す力になりました。

 

私たちは、周りの人の言葉や行動から、思っている以上に影響を受けています。

失敗の可能性ばかりを指摘する人のそばにいれば、行動することが怖くなります。

一方、勇気を持って行動する人、可能性を見つけてくれる人、挑戦を応援してくれる人のそばにいると、『やってみよう』と思えるようになります。


だからこそ、付き合う人を大切に選びたいと思います。

ただし、それは自分を励ましてくれる人だけを求めるという意味ではありません。

自分自身も、誰かに勇気ある行動を見せ、誰かの可能性を言葉にし、次の一歩を応援できる人でありたいと思います。

勇気は、誰かから受け取り、自分の行動へ変え、また次の誰かへ渡すことができます。

その循環の中にいることで、ひとりではできなかったことが、少しずつ実現していくのではないでしょうか。


勇気を循環させる三つの問い

1.        あなたは最近、誰の行動から勇気をもらいましたか。

2.        あなたの可能性を見つけ、背中を押してくれる人は誰ですか。

3.        受け取った勇気を使って、今週誰に連絡し、どんな一歩を踏み出しますか。


大きな挑戦である必要はありません。

気になっていた人へ連絡する。

相談したかったことを言葉にする。

誰かのよい行動を、本人に伝える。

そんな小さな一歩から、勇気の循環は始まります。


あなたは今週、誰から受け取った勇気を、どんな行動に変えますか。

 

臨床40年、教授10年の経験とコーチングの視点から、忙しい医療者が自分の軸や強みを見つめ直し、より良いキャリアを選ぶためのメッセージを週3回お届けしています。


 
 

― 人生は一度きり。効率よりも、心が動くことを選ぶ



「成果を増やすには、どの方法が最も効率的か」

限られた時間の中で仕事をする私たちにとって、効率を考えることは大切です。

けれども、効率よく積み上がった成果が、自分の心をまったく動かさないとしたら、それを長く続けることはできるでしょうか。

このことを考えるきっかけになったのは、最近、私の動画チャンネル収録のためにインタビューさせていただいた京都大学皮膚科教授の椛島健治先生が話していたことです。

内容はこちらから動画でご覧いただけます。

 

今や、医学研究の手法は大きく発展し、流行りの空間トランスクリプトーム解析やシングルセル解析など、大量のデータを扱う技術を使えば、そこから見える現象を論文にまとめ、研究成果を積み上げることができます。

しかし、椛島先生は、成果を出しやすいからという理由だけでは面白いと思えない、と話されました。

日頃の診療の中で生まれた疑問を出発点に、自分が知りたいことを追いかける。

英語でいえば curiosity-driven、好奇心から始まる研究でなければ、やる気が湧かないというのです。

私は、その言葉に深く共感しました。


道具が問題なのではなく、そこに自分の問いがあるか

もちろん、データ駆動型の研究や新しい解析技術を否定したいのではありません。それらは、これまで見えなかった現象を明らかにする強力な道具です。その方法に心が躍り、大量のデータから未知のパターンを見つけることを楽しめる人もいます。

大切なのは、流行しているから、論文が出やすいから、上のポジションに近づけそうだからという理由だけで、自分の時間を渡していないかということです。

昇進や社会的評価を目標にすることも悪くありません。ただ、それだけが動機なら、希望する立場を得た瞬間に、次へ進む力を失うリスクがあります。

一方、自分の問いから始まった仕事は、効率が悪く見える時期があっても、何度でもそこへ戻りたくなります。うまくいかないときにも、別の方法を試したくなる。その繰り返しが、長い時間をかけて、他の人には簡単にまねのできない仕事を育てるのだと思います。


上野ファームで見た、『好き』が育つ時間

この夏、私は北海道旭川市の上野ファームを訪れました。花々が風に揺れる庭を歩きながら、ここにも、心が動くことを長く続けた先に生まれた仕事があると感じました。

上野ファームは、もともと代々続く米農家です。1983年に米の個人販売を始め、農場を訪れるお客様に、目で見ても魅力ある場所だと感じてもらいたい。

その思いから、田んぼの畦道にルピナスを植えたことが、庭づくりのきっかけになったと公式サイトに記されていますし、私も実際に上野由紀さんの講演で当時の話をお聞きすることができました。

ここのガーデナーの上野砂由紀さんは、ご両親が農場の周りを花で美しくしようとする姿を見て育ち、イギリスでガーデニングを学びました。帰国後、ご両親と庭づくりを始めます。

家族で少しずつ庭を広げ、公開すると、市内だけでなく北海道外からも人が訪れるようになりました。苗の販売が始まり、古い納屋はカフェへと生まれ変わりました。

興味深いのは、イングリッシュガーデンをそのまま再現するのではなく、北海道の気候や風土に向き合う中で、上野ファームならではの『北海道ガーデン』が育っていったことです。


好きなことを続けるとは、誰かの成功をなぞることではありません。自分がいる場所、自分が持っている材料、人との出会いを受け取りながら、自分にしかつくれないものへ育てていくことなのだと思います。

最初から大きな事業をつくろうとしたのではなく、人を喜ばせたいという思いから花を植え、庭づくりを続けた。その『好き』が、結果として多くの人に受け入れられる場所と仕事に育った。私は上野ファームを歩きながら、そのように受け取りました。


私がいま、心を動かされていること

では、私自身は何に心が動くのだろう。そう考えると、いまは、限られた材料から何かをつくることに喜びを感じています。特に動画編集は、とても楽しい仕事です。

どの場面を残し、どの順番で伝え、どんなイラストやBGM・効果音を添えるか。素材が同じでも、組み合わせによって伝わり方は変わります。考えているうちに時間を忘れることがあります。

成果のために我慢して続けているのではなく、つい続けてしまう。それは、自分の内側から湧く動機を教えてくれる大切なサインです。


依頼を受けることと、自分の時間を守ること

医師には、製薬会社などから講演を依頼される機会があります。知識を社会に還元する意味のある仕事も多く、依頼されること自体を否定する必要はありません。

ただ、条件のよい外部からの依頼の仕事で予定が埋まり、自分が本当に育てたい問いや活動のための時間がなくなるなら、一度立ち止まる必要があると考えます。

外から与えられた仕事は、依頼が途切れれば終わります。

一方、自分の好奇心から育てた仕事、身につけた技術、人との信頼関係は、自分の中に残ります。

人生は一度きりです。すべてを効率で選ぶのではなく、自分の時間を何に渡すのかを、自分で決めたいものです。


心が動くことを選ぶ三つの問い

1.        他人からの評価とは関係なく、つい考えてしまうことは何ですか。

2.        面倒や失敗があっても、また取り組みたくなることは何ですか。

3.        そのための時間をつくるとしたら、何を一つ減らしますか。


答えが、すぐに立派な仕事や事業になる必要はありません。

小さな疑問でも、庭の一輪の花でも、一本の短い動画でもよいのです。

心が動く方向へ時間を重ねると、その積み重ねが、やがて誰かを喜ばせ、自分にしか残せない仕事になると私は考えます。


今日の問い

その仕事は、あなたが本当に残したいものですか。

人生は一度きりです。

今週、心が動くことのために、どんな小さな時間をつくりますか。


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