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勇気は、人から人へ伝わる

― 一歩踏み出す人のそばにいると、自分も動き出せる


あなたは面識のない、ずっと年上の人に、自分たちのための講演をお願いできますか。

私は最近、皮膚科専攻医4年目の先生から、その問いを突きつけられるような経験をしました。

1人の勇気ある行動が、多くの人に勇気をもたらします
1人の勇気ある行動が、多くの人に勇気をもたらします

といっても、先生から直接そう問われたわけではありません。

その方の行動を見て、私自身が考えさせられたのです。

面識のない若手医師から届いたメール

連絡をくださったのは、東邦大学医療センター大橋病院に勤務する、皮膚科専攻医4年目の須藤上治先生です。

須藤先生は、平成生まれの若手皮膚科医が、所属や地域の垣根を越えてつながる『平成デルマ会』の発起人でもあります。

平成デルマ会 Instagram https://www.instagram.com/heisei.derma/

 

須藤先生は、私とはまったく面識がありませんでした。

それでも私のウェブサイトに掲載していた連絡先を見つけ、若手皮膚科医向けに皮膚病理のセミナーをしてもらえないかと、丁寧なメールを送ってくださいました。

私は、とても嬉しく思いました。自分が長年学び、教えてきた皮膚病理を、これからの皮膚科を担う若い先生方へ届けられる。喜んでお引き受けしました。


先日開催したオンライン勉強会は、多くの先生に参加していただき、充実した時間になりました。

募集段階で参加登録は50名を超えていました。

参加者には、職場に皮膚病理を詳しく教えてくれる人が少ない先生も多かったようで、熱心に学び、喜んでくださいました。

私にとっても、若い先生方へ知識を渡せるありがたい機会になりました。


リーダーシップは、役職より先に始まる

私は須藤先生の行動を見て、『この先生にはリーダーシップがある』と感心しました。

リーダーシップというと、組織の長として皆を率いる姿を思い浮かべるかもしれません。

しかし今回、須藤先生がしたことは、もっと根源的なリーダーシップでした。


  • 仲間に不足している学びの機会に気づく。

  • 適任と思う講師を探す。

  • 面識がなくても丁寧に働きかける。

  • そして、仲間が学べる場を実現する。


肩書が先にあったから動いたのではありません。

必要なことを見つけ、自分から一歩を踏み出したから、人が集まり、学びの場が生まれました。

リーダーシップは、役職を得てから発揮するものではなく、『ここに必要なものをつくろう』と動くところから始まるのだと思います。


同時に私は、自分が須藤先生の立場だったら、まったく面識のない年長者へ同じように依頼できただろうか、と考えました。

おそらく、かなりためらったと思います。

私は、教える側でありながら、須藤先生から勇気ある行動のお手本を見せてもらったのです。

(このエピソードは須藤上治先生のご了解を得てご紹介しています。)


若い人から受け取った勇気で、私も動いてみた

その経験のあと、私は自分のYouTubeチャンネルに登壇してくださる外部の先生を、新たにもう一人お願いしてみようと思いました。

以前、オンラインの会議で数回お会いしただけの先生です。

親しい間柄ではありませんでしたが、須藤先生の行動を思い出し、SNSから思い切って連絡してみました。

すると、その先生はあっさりと快諾してくださいました。


連絡する前には、迷惑に思われるのではないか、断られたら気まずいのではないか、と考えていました。

しかし実際に一歩を踏み出すと、新しい対話の機会が生まれました。


勇気は、人から人へ伝わるのだと思います。

誰かの勇気ある行動を見ると、『自分にもできるかもしれない』という感覚が生まれます。

年齢や経験の長さは関係ありません。

この年齢になっても、若い人から学び、今までできなかったことができるようになる。

そのことを、とても嬉しく感じました。


ゲストの力を借りた動画も、私の仕事なのか

もう一つ、私の背中を押してくれた出来事があります。

私のYouTubeチャンネルでは、私一人で作る最近の動画よりも、著名な大学教授や名誉教授などをゲストに迎えた動画のほうが、視聴回数が高い傾向があります。

それはありがたいことなのに、私は少し後ろめたく感じていました。

外から見れば、他の先生の知名度や力を借りてチャンネルを運営しているように見えるのではないか。自分の実力で得た視聴回数ではないのではないか。

そんな思いがあったのです。


その気持ちを友人に話すと、友人はこう言ってくれました。

ゲストの先生が登壇する動画であっても、あなたが企画し、依頼し、対話を組み立て、収録・編集し、あなたのチャンネルで公開したのであれば、それはあなたの仕事ではないか、と。


その言葉を聞いて、私は視点が変わりました。

自分一人ですべてを行うことだけが、自分の仕事ではありません。

適切な人を見つけ、その人の知識や魅力が伝わる場をつくり、必要な人へ届けることも、立派な仕事です。

人の力を借りることと、自分の価値を失うことは同じではありません。

むしろ、人と人をつなぎ、新しい価値を生み出すことも、リーダーシップの一つだと気付きました。


実際に、私が企画した動画が高い視聴回数をだしたということは、必要としている人にコンテンツを届けることができたという事だと思います。


勇気を育ててくれる人のそばにいる

今回、須藤先生は行動によって勇気を見せてくれました。

友人は、私が見落としていた自分の強みを言葉にして、背中を押してくれました。

二人の関わり方は違いますが、どちらも私が次の一歩を踏み出す力になりました。

 

私たちは、周りの人の言葉や行動から、思っている以上に影響を受けています。

失敗の可能性ばかりを指摘する人のそばにいれば、行動することが怖くなります。

一方、勇気を持って行動する人、可能性を見つけてくれる人、挑戦を応援してくれる人のそばにいると、『やってみよう』と思えるようになります。


だからこそ、付き合う人を大切に選びたいと思います。

ただし、それは自分を励ましてくれる人だけを求めるという意味ではありません。

自分自身も、誰かに勇気ある行動を見せ、誰かの可能性を言葉にし、次の一歩を応援できる人でありたいと思います。

勇気は、誰かから受け取り、自分の行動へ変え、また次の誰かへ渡すことができます。

その循環の中にいることで、ひとりではできなかったことが、少しずつ実現していくのではないでしょうか。


勇気を循環させる三つの問い

1.        あなたは最近、誰の行動から勇気をもらいましたか。

2.        あなたの可能性を見つけ、背中を押してくれる人は誰ですか。

3.        受け取った勇気を使って、今週誰に連絡し、どんな一歩を踏み出しますか。


大きな挑戦である必要はありません。

気になっていた人へ連絡する。

相談したかったことを言葉にする。

誰かのよい行動を、本人に伝える。

そんな小さな一歩から、勇気の循環は始まります。


あなたは今週、誰から受け取った勇気を、どんな行動に変えますか。

 

臨床40年、教授10年の経験とコーチングの視点から、忙しい医療者が自分の軸や強みを見つめ直し、より良いキャリアを選ぶためのメッセージを週3回お届けしています。


 
 
 

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