対話の中で見えた、点と点をつなぐ線
- ishida-yamamoto akemi
- 3 日前
- 読了時間: 4分
「あのときの経験は、ここにつながっていたのか」
誰かとの対話をきっかけに、過去の出来事の意味が突然見えてくることがあります。ばらばらだった点と点の間に一本の線が引かれたような、深い納得感を覚える瞬間です。
後輩の言葉で見つけた、思いがけない一本の線
退職後、元の職場を訪ねたとき、ある後輩に「これから、どんなふうに仕事を続けていきたいですか」と尋ねました。
返ってきたのは、こんな言葉でした。
「点と点がつながるような生き方をしたいです」
これは、私が退任記念講演や最終講義で引用した言葉です。
スティーブ・ジョブズが語った「点と点をつなぐ」という考え方に、私は自分なりの解釈を加えて伝えていました。
どの点と点が将来つながるかは分からない。つながらない点もたくさんある。だからこそ、今できる範囲で、たくさんの点を打っておくことが大切なのではないか——という考えです。
後輩がその言葉を覚え、自分の生き方を考える道しるべにしてくれていた。
そのことを知り、私が以前に打った一つの点が、彼女の未来につながっていたのだと気づきました。
自分の知らないところで、点はつながっている
先日、私のメルマガに、現役時代に書いた論文が、私のいない学会の講演で引用されていたという話を書きました。
すると、大きな病院で管理職をされている読者の方から、お便りをいただきました。
その方がかつて指導していた後輩が、今は別の病院の指導者になっており、「自分のロールモデルは、あの先生です」と周囲に話していたことを、別の人から聞いたそうです。
目の前の仕事に追われていた当時は、自分の関わりが相手にどのような影響を与えているのか、分からなかったかもしれません。それでも、昔打った点が年月を経てつながり、「あの頃の自分の歩みには意味があった」と人生を肯定することにつながったのです。
一人の思いが、いくつもの人生を動かしていく
私の親しかった友人が、学会の中で、大学の垣根を越えて若手を育てる活動を発案しました。
その活動に参加した私の後輩は、他大学で研究に励む先生の姿に刺激を受け、大学院への進学を決意しました。
その後、友人のお弟子さんが私の後継者となり、今、その後輩はそこで大学院生として研究を続けています。
誰かが始めた活動、そこでの出会い、進学の決断、そして次の世代へ。
点と点は、一対一ではなく、いくつもの人を介して複雑につながっていきます。
研究も、一つの症例との出会いから始まった
私の現役時代の重要な研究も、研修医時代に出会った症例が出発点でした。
留学中の出会いや、帰国後に海外の共同研究者と行った実験が重なり、最終的には、その病気の原因を突き止めることにつながりました。
研修医の頃には、その症例が将来の研究テーマになるとは分かりませんでした。
留学先での出会いや共同研究も、それぞれの時点では、どこへ向かうのか見通せていたわけではありません。
後から振り返って初めて、点と点を結ぶ線が見えたのです。
点を打つとは、人と出会い、対話し、経験すること
もちろん、どこともつながらない点も数多くあります。
それでも、さまざまな場所に点を打っておくと、ある日、そのうちのいくつかがつながり、オセロの駒が次々と同じ色に変わるように、世界の一角が地続きに見えてくることがあります。
点を打つとは、特別に大きな挑戦をすることだけではありません。
いろいろな人と出会って対話すること。
いつもとは違う場所に出かけること。
関心を持ったことを学び、試してみること。
誰かに自分の経験を伝えること。
そうした小さな行動も、未来につながる点になります。
その時には、将来何の役に立つのか見当もつかないかもしれません。
それでも、心が少し動いたことに手を伸ばし、今できることをやっておく。
その姿勢は、きっと間違っていないのだと思います。
あなたにおすすめのワーク
過去の点と点が、不思議につながった経験を思い出してみましょう |
一つ目は、今の仕事や生き方につながっている、過去の出会いや経験は何か。
二つ目は、そのつながりに気づいたきっかけは何か。
三つ目は、まだ何につながるか分からないけれど、今から打ってみたい点は何か。

一人で考えても線が見つからないときは、誰かに話してみてください。
対話の中で、相手からの問いや、フィードバックの言葉が、見えなかった点と点の間に線を引いてくれることがあります。
日々の仕事に追われながら、自分を見つめ直すのは簡単ではありません。
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